某新聞への怒り!

昨日の朝刊に、どこかの医師が降圧剤について記事を書いていました。連載の記名記事です。

読んで怒りがわき、その怒りが時間を経て強くなっています。

 

高血圧を治療する薬についての、その記事の趣旨はこうです。

①ディオバンは、(データねつ造はあったが)降圧効果はしっかりしており、安心して内服してよい。

②アジルバは、データが不足しており、また価格が高いので、内服しない方がいい。

③価格を考えて、高血圧には利尿剤を内服することが最も良い。

 

公器である新聞に、ここまで間違ったことを書かれると、最前線で診療している立場は困ってしまいます。

①は、その通りでしょう。 ②、③は大間違いです!

 

アジルバは、実際に処方して、確実な降圧効果を実感しています。

そもそも、日本で薬として認められる、ましてや保険医療で使用できる薬として認められるためには、膨大なデータが必要です。(それゆえに、認可が外国に遅れることが問題視されるぐらいです。)

これまで高血圧がコントロールできなかった患者さんの中に、アジルバを処方することで確実に降圧し、喜んでいただいている方が多数おられます。中には、頑固な耳鳴りが消えた方もおられました。

確かに、自己負担額は(他の系統の降圧剤を内服する場合に比べて)増えているでしょう。でも、日本の国民皆保険は、一定のルールの範囲内で、それぞれの人にとって必要な最良の医療を受けられることを保証しているはずです。

どんな保険薬であっても、その薬がふさわしい人に処方する。当たり前のことです。これを否定することは、日本の医療を否定することです。

(なお、アジルバは同系統の薬の中では「価格の低い方」と理解しています。ディオバンから切り替えれば、間違いなく安くなるはずです。)

 

更に、高血圧の人は「利尿剤を内服すべし」とのこと。まったくの間違いです。

もちろん、利尿剤は、高血圧治療の第一選択薬の一つです。でも、体内に「水をためるタイプ」の高血圧の人に使うべきであって、「安いから、みんな利尿剤がいい」というのは医学的に正しくありません。それどころか、脱水傾向になり脳梗塞でも起こしたら、筆者はどう言い訳するのでしょうか?

 

信頼して購読している新聞ですが、今日は、怒りを通り越して、ガッカリです。

最近は、テレビ番組や雑誌の記事でも、あやまって視聴者・読者の不安をあおる健康番組や記事があふれています。

「新聞よ、お前もか!?」と思う一方で、市井の皆様には「間違った情報を信じてほしくない」と願うばかりです。

 

 

<10月22日追記>

 今日の記事では、「降圧剤は、血圧を下げなくても、合併症を予防できればいい」とお書きでした。

 私は、そのためには「降圧効果は必要」と考えます。それが高血圧治療ですから。

 この筆者と議論するようなブログは最後にします。話はかみ合わないでしょうから。